
悪魔の影 ブラック
悪魔の影 (DemonShade、デモンシェイド)
〜アトゲアバで物語を書いてみた 1〜
悪魔の影が欲しくてあれこれ考えていたら物語が浮かんできたので、少しずつ文章にまとめてみることにしました。
ストーリーは“悪魔の影ってエヴァっぽい”という噂からエヴァのテーマ?を元にして作っています
ストーリーのテーマ格言
〜 「怪物と戦う者は、その過程で自分自身も怪物になることのないように気をつけなくてはならない。
深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているのだ。」 by ニーチェ 〜
「デモンシェイド」 ストーリー予定
第一章:出会い
第二章:戦うこと
第三章:認められたい
第四章:存在価値
・憂(ゆう):デモンシェイド ブラックのの主
今とときめかない灰色な学生生活を送る高校生
口癖は「鬱だ氏のう。」
・凛空(りすか):デモンシェイド ブルーの主
元々研究機関に属していて淡々と任務をこなす
あまり感情を表に出さないが、何かあると人に隠れて腕に巻いた包帯の下に傷を増やす
・心中(ここな):デモンシェイド レッドの主
サバサバした性格になると思う。 心中仲間を探している転校生
・未定(候補は新翔=にーと):デモンシェイド グリーンの主
フォース役で暴走して仲間に殺されることになる!?
・ピーター:適合者、影を縫い付ける子供=ピーターパンから
・デモンシェイド(DemonShade):機関が開発した人の意思で操る戦う影
(2007年8月21日 エクソシスト、漆黒の闇、悪魔の影)
・深淵のもの(Abyss):人の心の闇を具現化させて暴れまわるものたち
(2008年6月3日 セルフィウィザード、ダーク、深淵からのいざない)
・研究機関:人の影に悪魔の影を縫い付ける(はがす)技術を持つ
・その他クラスメイトなどDQNネーム:右翼(らいと)、二成(ふたなり、長男は一成)、殉子(じゅんこ)、
早世(さよ、早くして死ぬこと)、初夜(はつよ)、茄子(かこ)、麗人(れいと)、
恵多(えた)、心太(しんた)、恥子(さとこ)、波知(なち)、黄泉(よみ)
〜第一章:出会い〜
ボクは前の学校でも、その前の学校でもいじめられて常にクラスの中で一人浮いた存在になっていた。
今のところいじめはないけれど、新しく転校してきたこの学校にもボクはなんだかなじめないでいた。
この学校でもいついじめが始まるのかも分からない。
いじめられる人はいじめに合う“素質”があるのだと、昔だれかが言っていた気がする。
母はなく、父は仕事が忙しくて全くといっていいほど家には帰ってこない。
学校も家の中も孤独で一杯だった。
新しい学校と家とを行き来するだけ毎日。
何も変わらない退屈な授業風景。
ボクの席は窓際だったため、授業なんて上の空でよく空を見上げて一人でボーっとしていることが多かった。
ある日、学校での授業中に嫌なことがあったときにふと思った。
『こんなつまらない世界なくなっちゃえばいいんだ。』 そう心の中でつぶやいた。
窓の外を見上げると、まるで今のボクの置かれている状況なんて、全く関係ないかのようにただ白い雲が流れていく。
この世界が平和すぎることが罪のようにさえ思えた。
『嫌いだ。 こんな何もない日常。 ただ生きるだけの毎日に何が待っているというんだ。』
それなのに相変わらずクラスの一部の生徒は授業中でもお構いなしに楽しそうに話をしているし、空も穏やかでなんだか憎たらしい。
『誰が不幸な目にあっていても、きっとこの世界には関係のないことなんだ。』
・・・・・
・・・もうそろそろ自殺しようかと思う。
もうこんな日常には愛想が尽きた。
どこか一人で静かに逝ける場所を探そう・・・。
学校帰りにボクは一人になれる場所を探して街を探検した。
寂れた小さな公園を通り過ぎどこを見ても同じに見える団地を越え、今では車が全く通らない裏道へと足を進めた。
すると滅多に人の近づかないような廃工場が見えてきた。
建物はところどころ崩れ、穴の開いた壁から暗いはずの室内に光が差し込んでいる。
金網や倉庫に使われているトタン屋根もサビて変色していた。
静か過ぎて一歩一歩進むたびに足音がまるで洞窟の中にいるかのように響いた。
『あぁ・・・ここはいい。 この見捨てられた感じがとても落ち着く。』
そう思いながら探検を続けた。
ボクが最初に入った部屋は広いだけの物置き場のようば場所だった。
何に使われていたのかも分からない機械の残骸がところどころ落ちている。
部屋の中を見渡すと奥にまだ小さな部屋があることに気づいた。
『せっかく来たのだから全部探検して回ろう。』
その部屋の扉には特に好奇心もなく期待もしていなかった。
ただそこにあるから開けただけだったはずなのに・・・。
ギイイイイイッ 重くない扉のきしむような音がした。
相当古いのだろう。
中に入ると何かがいるような気配がして驚いた。
『誰かに・・・見られている?』
奥へと進む前に一応部屋の中をぐるりと見渡してみたけれど人らしき影はどこにもなかった。
気のせいかと思って前へ進むと、今度はヒタヒタと液体が垂れ落ちているような音がした。
『水道の蛇口でも緩んでいるのか? それともどこかに溜まっていた雨水が垂れているのか?』
そのときボクの頭には常識でとらえられることしか思いつかなかった。
『あははは。 ほら、水道があるじゃないか。』
部屋の隅にトイレなどにあるような白い陶器の洗面所があった。
ボクはその蛇口をひねって水が垂れるのを止めようとした。
しかし水が垂れる音を止めるどころか蛇口から水を出すこともできなかった。
水はすでに止まっており、洗面器も蛇口も完全に乾いていた。
その事実を知ったとき、わずかに明かりのある暗い室内で、ボクの左側にある割れた窓ガラスにボク以外の誰かが映った気がした。
『・・・何かいる!!』
すぐに後ろを振り返り辺りを見回すと、今度こそ上から落ちてくる何かを見れた。
『あそこか!』
すぐにその液体が垂れ落ちている場所へ急いでドロドロの水溜りのようなものがあるのを確認した。
そして、天井を見上げると翼のようなものを思いっきり広げた黒い影がそこにはあった。
やけにとがった頭らしき物に大きく裂けた口があり、口の中にきれいに並んだギザギザの黒い歯から何か垂れていた。
崩れた壁から差し込む光によって、それが赤黒い血だと分かったときには寒気がした。
顔の真ん中あたりにある妖しく光る二つの赤い丸は、まるでこちらを見つめているようだった。
「な、なんなんだこいつは!?」
ボクの目の前に現れたそいつは、まるで黒い悪魔のようだった。